MDロジスのグループ入りにより、我々が有する機能を掛け合わせ、 価値提供を一層「拡伸」していきましょう

 今年は2月から3月にかけて、東北・北陸を中心に記録的な大雪に見舞われ、中部・関東においても高速道路や一般国道における予防通行止めが実施されました。大きな混乱を招くことなく、皆さんがお客さまの繁栄のために奮闘いただいたことに心から感謝しています。            

第3四半期の業績について

 2024年度第3四半期のセイノーホールディングス連結決算についてお話します。売上高は541,684百万円で、前年対比111.3%。営業利益は24,713百万円で、前年対比120.2%となりました。セイノーホールディングス全体で見ると増収増益となりました。
 セグメント別でも、それぞれ頑張っていただきました。営業利益は輸送事業では前年対比124.1%、自動車販売事業では129.1%となりました。

 特積み事業では、適正運賃収受の進展によって単価の上昇が続いています。お客さまとの交渉は、運賃改定と併せて 物流改善(積載効率化や輸送効率化)をセットで提案したり、定量的な数値を経営者の方々に明示して、納得度や理解度を高めて更新してくれている店所が多数あります。成功事例が既にあるので、水平展開をして取り入れて、検証をしていきましょう。

 ロジスティクス事業では、当社の物流とグループ内サービスを組み合わせ、管理業務などの企業の多様な経営課題を解決する「たすかる経営パック」を発売しました。また、金融との連携も進めていきます。より高いレイヤーや、今までアプローチできていなかった企業に投げる仕組みとして、十六銀行や大垣共立銀行と契約を締結しました。
 貸切事業では、ハコベルの機能(見つかるチャーター)の利用が拡大しています。現在、業界全体で6万社の企業がありますが、そのうち3万社がハコベルのプラットフォームを活用しています。空気を運ばず、空気をキレイにするマッチングが、業界の標準になっていきます。

 自動車販売事業では、外販の利益を上げて頑張ってもらっていますが、特にアフターサービス(メンテナンス)に注力していくことが、利益の押し上げにつながります。新車を売って、アフターサービスの提供でお客さまと長い付き合いをしてもらっています。またお客さまの車両から取得したICTデータを分析した「コンディションレポート」という車両の健康診断を整備提案資料として活用し、予防整備の必要性を訴求しています。

 物品販売事業では、セイノー商事の事例で、介護家庭紙を必要とする病院や介護施設に対して、他社ではできない倉庫在庫の活用によって、トータルコストを圧縮する提案をしています。病院や介護施設は光熱費や消耗品の値上げなどによって苦しい状況の中、あえて低価格品への切替提案を行うことや、提案アイテムの拡大などのトータル提案を行うことで、顧客内のシェアを拡大しています。 
 関連事業では、コロナ禍により集客が減り、送迎バスを手放したり、人手不足によって送迎サービスまで手が回らないホテルや飲食店に対して、スイトタクシーでは「ドライバー+車両のセット販売 」やドライバーの請負や派遣を行うことで、お客さまのお困り事を解決しています。
 いずれの事例も、お客さまに成り代わっていく、お客さまの目線で考えていくと、色々な価値が見えてきます。お客さまが欲しいものやサービスは輸送業にとどまりません。いかに価値を向上していくか、「できない」と思われていることがあっても、いかにチャレンジしていくかが重要です。できないことでも、「聞き届ける」事で、とても効果があります。実践していくと、我々が目指す数字が見えてくるでしょう。
 人口減少に伴って、お客さまは採用が難しくなってきます。すると、苦労して人を採用して、間接部門に人件費を使うよりも、どんどん外注しようと考え始めます。これは我々にとって、大きなチャンスです。お客さんがやらない仕事をどんどん取り込んで、DX化していきたいと考えています。そしてOn Behalf= 成り代わりを発揮 し、「Team Green Logistics」によって、日本の生産性向上と業界の効率化の実現を目指していきます。
 一方で、市場環境への変化へ適応し、競争優位性を確保・維持していくためには、企業として、ロジのセイノーへトランスフォームし、新たな成長機会を見出す必要があります。そこで企業が生き残るためだけではなく、新たな価値を生み出し、競争力を補完・拡充するための戦略的な選択肢として、M&Aや新たな取り組みによる多角化によって「非連続的な成長」も目指していかなければなりません。今までの行動パターンを見直し、経営者、管理部門、現場がそれぞれ成すべきことを落とし込みした中で、新たなアプローチ(行動変容)につなげていきましょう。また、行動変容を実行していく中で、グループ各社が持つ「成功事例」を積極的に衆智、展開していくことが重要になってきます。そこで、新たに価値創出された、優れた成功事例を自発的に発信する文化を醸成するために、従来の「社長賞」に加え、「サクセス スピリッツ賞」制度を創設します。これによって、皆さんのモチベーションが高まることを期待しています。

ロードマップ2028の実現に向けて

 ロードマップ2028への道のりも3年目を迎えます。これまで、お客さまに「+αの価値を提供する」ために、ハコベルのデジタルプラットフォームを活用した貸切提供や、ロジスティクスの拡大、O.P.P.連携などを推進してきました。また、新たにMDロジスがグループ入りしたことで、グローバル企業との連携が深まり、日本国内だけではなく、「世界」を舞台にこれまで以上に「価値提供」ができる扉が開いたと考えています。あらためて、我々は、この世界の繁栄を中心軸に、+αの価値提供を進め、世界に目を向けて、効率化の実現を目指していきます。

 そして自社のみの最適化を図るのではなく、各社の得意領域を成長させたり、非効率な地域を補完し合うO.P.P.を拡大させ、輸送効率を向上させていきます。また、お客さまに成り代わるロジスティクスサービスを提供し、荷主と一体となったサプライチェーンの課題解決や、高度な物流システム目線での提案力を強化していきます。
 日本は、世界で最初に超高齢化に突入する先進国です。人口が増えている時代には、各運送会社がそれぞれ全国ネットを構築しましたが、人口が減っている今はそれらは過剰な設備投資となります。全国には2,000弱の市町村がありますが、この中には経済合理性がないため、コンビニがない出店しない場所が多くあります。そのようなエリアへ配達があった場合、各社がトラックを出していたら、非常にコストがかかります。そのため、1社のトラックに集約して生産性を高めます。一方で、東京都内でも同じようにO.P.P.によって効率を上げています。自社の物理的限界に左右されないサービスとして、ハコベルのデジタルプラットフォームを活用した貸切を拡大していきましょう。
 人口減少、少子高齢化などの社会課題解決に対しては、従来の枠にとらわれない方法やチームで、新しいプラットフォームの創出を進めていく事が重要です。お客さまにNo Stressなサービスを提供していくために、我々が有する機能を掛け合わせ、価値提供を「拡伸」していきましょう。個々が接する「この世界」から、果てしなく広がる「この世界」まで、すべての人に笑顔と幸せを届け、心をつないでこうではありませんか。

最後に

 お伝えしたいのは、全従業員の皆さんの健康管理についてです。ご自身の健康管理には、十分にお気をつけください。皆さんの替えはいません。ご家族の皆さんにも、十分お気をつけ頂きたいと思います。
 皆さんの体を守ることが、お客さまの繁栄を支え、我々の理念である「従業員の幸福」につながって行きます。冒頭で申し上げましたが、有事は心身の安全、平時は法令順守。みなさんが今年も笑顔で業務に邁進できますよう、心から祈念しております。