第1四半期は増収増益 今後はその強みをいかに伸ばし、継続的に発揮していくかが課題
2つ目は、都市対抗野球大会の優勝について。ここもひも解いてみますと、当社の経営理念、特に労使協調体制、礼節中心主義、そして福寿草精神。これらがカタチになったものでした。そのため、彼らの行動を分解することができます。これも後ほどお話をしたいと思いますが、ポイントとしては、『自ら考える野球をしてくれた』ということです。実は、佐伯監督は一切指示をしていません。高い目標を設定した後で、それぞれが考える。「自分ができることを考えていく」ことをさせました。これによって、自分の判断で練習の組み立て、そして試合の組み立てをすることができました。後ほどお話ししますけれども、0.2秒での判断というのは、ベンチの指示では間に合いません。ですから、それぞれが考えるということができました。
第1四半期の業績について
第1四半期は、皆さんのご努力のおかげで、5つのセグメント全てで売上、利益ともに増収増益となりました。前年比で売上は107%、営業利益は136%、利益率も5.9%と1.3ポイント上昇しております。物量やお客さま、単価の増加など、それぞれの要因がありますが、今後はその強みをいかに伸ばし、継続的に発揮していくかが課題となります。皆さんのご努力により、前年を大きく上回る成長となったことに、心より感謝を申し上げます。
【輸送事業について】
輸送事業の業績を因数分解していくと、物量が約103%、単価が102%伸びています。輸送グループでは3年周期で運賃改定の依頼を行っていますが、単に「上げます」ということではなく、+アルファの価値提供ということで、お客さまに「他にどんなことが必要なのか」「我々でお手伝いすることはないか」と聞いていただきたいと思います。例えば、「これから商品代金の回収が難しくなる」という話があれば、「我々の方で回収をお手伝いしましょう」と提案する。運賃改定をきっかけに、お客さまの困りごとを聞き、ロジスティクスや輸送に限らず、気付きのきっかけとして、新たなサービス提供につなげていただきたいと思います。また、O.P.P.の推進では、今年は新しくTGL山陰を設立しました。これは福山通運さまと一緒に、人口減少が激しい地域への対応を進めています。今後は日本全国で人口減少が進んでいきます。過疎化が進めば、これまでのインフラは過剰になり、インフラをいかに効率よく使うかが重要になります。今回の山陰のモデルでとても良いのは、数字が物語っています。出雲エリアも大田エリアも営業乗務社員の業績給がそれぞれ上がっています。またお客さまも、2社がそれぞれ配達に来て荷受けをするのではなく、1回で荷受けできるためメリットがあり、営業乗務社員の生産性向上や環境負荷の低減にもつながります。ただ払拭しなければならないのは、『今まで荷物を取り合ってきた相手』という気持ちの壁だけです。必ず日本は少子高齢化が進んでいきます。これがモデルになっていきます。これからの日本の物流を考えれば、こうした連携は必要になります。ぜひ、同業者やお客さまに数字を示しながら提案し、より効率よく日本の物流を支えていく取り組みを広げていただきたいと思います。
【ロジスティクス事業について】
ロジスティクス事業では、倉庫の面積も増え、稼働率が48%から93%まで上昇しました。採算分岐点を超える稼働にするためには営業力が重要です。それぞれの会社や店だけでなく、ロジスティクス事業部とも連携し、全体として営業活動を進めていただきたいと思います。
【自動車販売事業について】
自動車販売も前年比111%、トラックにおいては130%と伸びています。これまでの「売る」こと以上に、今後はメンテナンスに注力していきます。販売は一度で終わりますが、メンテナンスはずっと継続します。そのために必要な人財を育成するため、トレーニングセンターの設置にもつながっています。要因を分析し、「何が必要なのか」を考え、解決策を提示することが重要です。
今後のAIの活用について
すでに皆さんも身近に接していると思いますが、AIが予測不能なほどのスピードで発達しています。そのため、多くの職業が今後消えていくかもしれません。こういう時こそ、我々にはチャンスになります。私たちはエッセンシャルワーカーなので、まだまだ必要とされていくでしょう。30年も経つとロボティクスによって、無人の自動配送機などは始まっていくでしょう。しかしそれまでは、このAIの波が来ており、我々はこれをうまく使うことで、お客さまにより良いサービスの提供ができます。
お客さまのメリットは、商談中にその場で運賃を試算や提示ができる「待たせない」、担当者の経験に頼らず、データに基づいた同じ品質の提案をいつでも受けられる「ブレない提案」、需要予測の精度向上による車両や人員を先回りして確保し、繁忙期も安定した輸送力を提供できる「止まらない輸送」の3つがあります。そして当社でもAIの活用によって定型業務がとても圧縮できています。AIというツールによって定型業務を効率化し、スピードアップすることで、間接部門の人財が今度はお客さまへのコンサルティングに回ることもできます。AIは仕事を変革できる、というチャンスになります。AIを導入すること自体が目的ではなく、それによってお客さまの効率を上げ、どのような価値を提供できるかが重要です。各社には、「こんなことを実現したい」「こんなことができるといい」というところから、AIの活用を考えていただきたいと思います。そこから新しい使い方が生まれ、AI人財の育成にもつながります。本社にも窓口を設けますので、デジタル戦略室を中心に、ぜひ各現場から衆智を集めていただきたいと思います。
都市対抗野球の優勝から学ぶこと
「智」「情」「意」を軸に、行動に落と込んでくれたのが野球部です。全員参加、衆智を集める。そして規律を守り、常に感謝の礼節を忘れない。福寿草精神で全肯定と大努力で困難も乗り越える。興味深い話があります。まさに東京ドームへ出発する日のことです。西濃グランドの三塁側ベンチの清掃が十分ではないことに気付いた佐伯監督は、東京への出発直前にもかかわらずコーチ陣を呼び止め、全員で掃除をやり直したそうです。佐伯監督は「凡事徹底」と言っていますが、そのような基本的なことをしっかりすることで、運をつかむことができると思っています。大谷翔平選手も、ごみを拾うという話があります。ゴミを拾うということは、細かいところまで目が行くようになり、相手に対する観察眼が鋭くなります。またゴミを拾うことは、他人が捨てたツキを拾っているのだとも言われています。
「礼節があるところには秩序が生まれ、秩序が生まれると効率が高まる。効率が高まると会社が繁栄する」、これも名誉会長が話されたことです。ですから、このようにしっかりした規則や規律を守っていくことで、運がつかめます。今回佐伯監督が行ったことで、特筆すべき点は2つあります。1つは自ら考えるという事。彼は細かい指示は出しません。しかし優勝という目標を立てて、そのためにそれぞれの選手に何が必要か、具体的な行動を考えてもらいました。レベルやタイプによって、選手の行動パターンは異なります。ですが選手が自分で決めた行動に対しては、実行してもらいます。この行動の検証はコーチが行います。PDCBAの伴走者を必ずつけて、ショートインターバルで検証していきます。そうすることで、早く修正できるようになります。今回は試合中にもパターンを変えたそうです。これは自らが考えることをしないと、組織としては対応できません。指示を待って対応をしているのと、それぞれが考えて対応するのと、どちらが正確でしょうか。
もう1つは「0.2秒へのこだわり」です。選手たちは、相手がボールを受けてからタッチするまでのわずかな時間を意識し、三塁を回る際の走り方など、細かな動きを普段から繰り返し練習しました。基礎を徹底し、習慣化していたからこそ、本番での差につながりました。今回の優勝には、基本を徹底すること、自ら考えて行動すること、小さな0.2秒にまでこだわることなど、強い組織をつくるための多くのヒントがあります。皆さんの現場でも、お客さまの状況を見ながら自ら考え、判断し、行動できる組織をつくっていただきたいと思います。
最後に
皆さんにお願いがあります。それは、皆さんの健康管理についてです。冒頭にも申し上げましたように、「有事は身心優先、平時は法令遵守」と言っています。皆さんは能力が高く、強い責任感を持っています。だからこそ、つい無理をしてしまうこともあると思います。ベンチャー企業では、ある程度の無理も必要だという方もいますが、頑張ることと無理をすることは違います。頑張ることは、自分の能力を拡大していくことです。一方、無理をすることは、自分の身心を削っていくことです。その境目は人それぞれですが、「これは自分の能力を高めることにつながる」と思って取り組めるのであれば、それは頑張っているということです。しかし、「これ以上は無理だ」と感じたり、眠れなくなったり、身心がどんどん疲弊していったりするのであれば、それは無理をしているサインかもしれません。
名誉会長も20日間、路線免許申請のために奔走されたこともありました。いざというときには、そうした踏ん張りも必要です。ただ、それも次への楽しみがあるからこそできるのだと思います。
今回、皆さんが大変良い成果を上げられたのも、従業員の方々全員の頑張りのおかげだと思っております。だからこそ、体だけはどうか最優先に考えてください。皆さんご自身、そして従業員の方々の健康がなければ、周りの方々に貢献することもできません。
どうか健康には十分に気をつけていただき、これからも日本の物流を支え、日本の産業を支えていっていただければ幸いです。